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恋は心の花ですから

奥歯くんが泣いてるよ。

工藤かもめです。

 

歯がね、痛いのね。

 

歯が…

 

痛いのね……

 

 

 

 

かつて恋をした。

死ぬまで好きだろうと思った。

なにがあっても、どんなときでも、一緒にいられるならどんなでもいいと思えた。

死ぬまでそばにいてほしかった。

 

だけど、いなくなってしまった。

フラれた方がずっとよかった。

自分で自分の思いを手放すことは、相手を嫌いになるより難しくて。

 

死ぬまで好きだと思ったことが、いっときの感情ではなく、願いや意志だったらどうしよう。

本当に死ぬまで好きなのだとしたら、その相手を失ったらどうなってしまうのか。

 

時間は失恋の傷を癒す。

止まない雨はない。

よく聞くそれらは、本当だろうか。

 

一生だ、と思える恋を失えば、一生孤独と寄り添うことになる。
一生をかけても他の誰かには埋めがたいそのスペースは、一生空いたままのスペースになる。

死ぬまで私は恋を失ったまま。

 

 

 

なんて。

 

 

 

 

時間が経って今はっきりわかるのは

 

 

 

 

 

 

そんなことより歯が痛い。

 

 

 

 

 

 

かつて歯があった。
失くすなんて思ったことなかった。
なにがあっても、どんなときでも、大体歯磨きはしてきた。
死ぬまで歯は大事にしたかった。

 

だけど、なくなってしまった。
虫歯とかの方がずっとよかった。
いくら事故だったとはいえ、口の中が半壊した。ついでに顎も骨折した。

 

 

テレビでプロレスラーが同じような怪我をしたと言ってた。

一体私はいつからプロレスラーになってたのだろう。
歯は、もう二度と生えてくることはない。

その大事なものを数本失ったら、私はこれからどうしたらいいのだろう。

 

時間は心の傷を癒す。
止まない雨はない。
よく聞くそれらは、本当だろうか。

 

歯は一生ものだ。

それを失えば、一生歯医者と寄り添うことになる。
大金がないと埋めがたいそのスペースは、このままじゃ埋まらないまま。
死ぬまで私は歯医者で治療をする。

 

 

 

なんて。

 

 

 

時間が経って今はっきりわかるのは

 

 

 

 

 

 

歯医者にはちゃんと行こうね。